ョア文化だかなに文化だか知らぬが、とにかく人間が進化するというのはオシャレになるということに過ぎない。いくらブルジョア文化に反対するプロレタ文化だって、みんなが青服を着て得意になるということばかりじゃあるまい。みんなが、人間みんなが一様に贅沢な、文化的な生活をしなくてはならないということなのじゃあるまいか?
今の資本家など称する輩はだが、たいてい財力を握っている野蛮人に過ぎないような観がある。金ピカ崇拝の劣等動物で、芸術だの学問などの趣味のわかる人間は殆ど皆無といっていい位である。だから、かれらがこしらえている都会をまず見るがいい、――いかにゴミタメの如く小汚なく、メリケン町の場末の如く殺風景であるか!
自分はすき好んで放浪している訳ではない。僕をして尻を落ち着けさせてくれる気持ちのいいところがないからなのだ。恐らく贅沢でわがままな僕を満足させてくれるような処はどこへ行ったッてないのかも知れない。
イジイジコセコセと変に固苦しく、生活を心の底からエンジョイすることを知らず、自分の感情を思う存分に托する歌一ツだに持たず、狭い自分達の箱の中でお互いに角つき合い、眼くじらを立て、低能児
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