り、精神が麻痺したり色々とするものだ。そこで、僕などはまだ自殺をやらない代りにダダイストなどという妙な者になってしまったのだ。これからまたどんな風に変わるか、先のことなど墓場へ突き当る以外にはちょっとわかりそうにもない。
 ダダイストという奴はともかくダダ的に文句をいうことがなによりも嫌いなのだ。つまり一呼吸の間に矛盾した同時性が含まれているというようなこともその条件の一つだが、元来ダダ[#「ダダ」に傍点]にとっては一切があるせんす[#「あるせんす」に傍点]なのだから、従っていか程センチメンタル[#「センチメンタル」に傍点]でもかまわないのだ。メンタル[#「メンタル」に傍点]とまちがえては困るよ。
 一九二三年の夏、僕は昨年来からある若い女と同棲、××××の結果、精神も肉体もはなはだしい困憊状態におかれて今までに覚えのない位な弱り方を[#「弱り方を」は底本では「弱を方を」]した。それで毎日煙草を吹かしては寝ころんでいた。興味索然と、はなはだミサントロープになり、一切が癪にさわって犬が可愛らしく思われたりした。友達などがたまたま訪ねてきてくれたりすると非常に失礼をいたしたりした。
 こん
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