かすると、梅も咲くかと疑はれる程、暖かな雪の夜を送ることがある。そのかはり雪の積つた後と来ては、堪へがたいほどの凍《し》み方だ。雪のある田畠へ出て見れば、まるで氷の野だ。斯うなると、千曲川も白く凍りつめる。その氷の下を例の水の勢で流れ下る音がする。



底本:「日本の名随筆94・草」作品社
   1990(平成2)年8月25日第1刷発行
入力:増元弘信
校正:浦田伴俊
2000年6月24日公開
青空文庫作成ファイル:
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