なことが別に怪まれずにあるやうな、迷信の深い空氣の中で、私は子供の時を送つたのです。何等かの自然の現象で一寸解釋のつきかねるやうなことは、知らない生物《いきもの》の世界の方へそれを押しつけてありました。山には狼の話が殘り、畠には狢《むじな》や狸が顯はれ、暗くなれば夜鷹だの狐だのの鳴聲のするのが私の故郷でした。それほど私達の幼少《をさな》い時の生活は禽獸《とりけもの》の世界と接近したものでした。蜂の種類も多くありました。殊に地蜂と言つて、五層も六層も土の中に巣を造るのは、土地で賞美される食料の一つでした。兄達は蛙を捉へて來て、その皮を剥ぎ、逆さに棒に差し、地蜂の親の餌を探しに來るのを待受けたものです。蛙の肉に附けて置いた紙の片《きれ》で、それを咬《くは》へて飛んで行く蜂の行方を眺めると、巣の在所《ありか》が知れました。小鳥の種類の豐富なことも故郷の山林の特色です。黐《もち》や網で捕れる鶫《つぐみ》、鶸《ひは》の類はおびたゞしい數でした。雀などは小鳥の部にも數へられないほどです。子供ですら馬の尻尾の毛で雀の羂《わな》を造ることを知つて居ました。
 私達は、同じ年頃の子供ばかりで遊ぶ時には、
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