とを書き、この家計の骨の折れる中でも和助には修業させたい一同の希望であるからそのつもりで身を立ててくれよと書き、どうかすると娵女《よめじょ》のお槇《まき》が懐妊したから和助もよろこべというようなことまで書いてそばにいるお民に笑われた。
「そんな、あなたのような、お槇の懐妊したことまで東京へ知らせてやるやつがあるもんですかね。」
これには彼も一本参った。しかし古い家族の血統を重く考える彼としては、青山の血を伝えにこれから生まれて来るもののあるその新しいよろこびを和助にまで分けずにはいられなかった。そんなおとなの世界をのぞいて見るようなことが、どう少年の心を誘うであろうなぞと想《おも》って見る暇もないのであった。和助もあれで手紙を書くことはきらいでないと見えて、追い追いと父のもとへ便《たよ》りをしてよこす。それが学校の作文でも書くように半紙に書いてあるのを彼は何度も繰り返し読み、お民にもまた読み聞かせるのを何よりの心やりとする。彼は遠く離れていながらも、いろいろと和助を教えることを怠らなかった。手紙はどういうふうに書くものだとか、本はどういうものを読むがいいとかいうふうに。
やがて成長
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