鶫《つぐみ》もまじっていると知られた。その晩、うどん振舞《ぶるまい》に招かれて来た人たちは半蔵のことを語り合うにも、これまでのように「本陣の旦那《だんな》」と呼ぶものはない。いずれも「お師匠さま」と呼ぶようになった。
「あい、お師匠さまがお帰りだげなで、お好きな山の芋《いも》を掘ってさげて来た。」
 尋ねて来る近所の婆《ばあ》さんまでが、その調子だ。やがて客人らは寛《くつろ》ぎの間《ま》に集まって、いろいろなことを半蔵に問い試みた。飛騨の国幣小社水無神社はどのくらいの古さか。神門と拝殿とは諏訪《すわ》の大社ぐらいあるか。御神馬の彫刻はだれの作か。そこには舞殿《まいどの》があり絵馬殿《えまでん》があり回廊があるか。御神木の拗《ねじ》の木とは何百年ぐらいたっているか。一の宮に特殊な神事という鶏毛打《とりげうち》の古楽にはどのくらいの氏子が出て、どんな衣裳《いしょう》をつけて、どんな鉦《かね》と太鼓を打ち鳴らすかの類《たぐい》だ。六三郎はおのが郷里の方のうわさをもれききながら、御相伴《ごしょうばん》のうどんを味わった後、玄関の次の間の炬燵《こたつ》に寝た。
 翌朝、飛騨の若者も別れを告げて行
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