太の相談相手となりに来てくれるという。村の髪結い直次の娘で、幼い和助が子守時代からずっと奉公に来ているお徳は、これも水仕事にぬれた手を拭《ふ》きふき、台所の流しもとから彼のところへお辞儀に来る。その時は飛騨から供の六三郎も重い荷物を背中からおろし、足を洗って上がった。この飛騨の若者はまた、ひどくくたぶれたらしい足を引きずりながらも家のものに案内されて、青山の昔を語る広い玄関先から、古い鎗《やり》のかかった長押《なげし》、次の間、仲の間、奥の間、諸大名諸公役らが宿場時代に休息したり寝泊まりしたりして行った上段の間までも、めずらしそうに見て回るほど元気づいた。
 六三郎はお民に言った。
「奥さま、もうお忘れになったかもしれませんが、あなたさまが飛騨の方へお越しの節に宮司さまに頼まれまして、久津八幡までお迎えに出ました六三郎でございます。」
 日の暮れるころから、旧知|親戚《しんせき》のものは半蔵を見に集まって来た。赤々とした炉の火はさかんに燃えた。串差《くしざ》しにして炙《あぶ》る小鳥のにおいは広い囲炉裏ばたにみちあふれたが、その中には半蔵が土産《みやげ》の一つの加子母峠《かしもとうげ》の
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