を凍らせてすべる子供らの間に起こっている。坂になった町の片側をたくみにすべって行くものがある。ころんで起き上がるものがある。子供らしい笑い声も起こっている。
山家《やまが》育ちの子供らは手に手に鳶口《とびぐち》を携え、その手のかじかむのも忘れ、降り積もった雪道の遊戯に余念がない。いずれも元の敬義学校の生徒だ。名も神坂村《みさかむら》小学校と改められた新校舎の方へ通《かよ》っている馬籠《まごめ》の子供らだ。二月上旬の末に半蔵は平兵衛と連れだちながら郷里に着いて、伏見屋の前あたりまで帰って行くと、自分を呼ぶその教え子らの声を聞いた。
「お父《とっ》さん。」
と呼びながら、氷すべりの仲間から離れて半蔵の方へ走って来るのは、腕白《わんぱく》ざかりな年ごろになった三男の森夫であった。そこには四男の和助までが、近所の年長《としうえ》の子供らの仲間にはいりながら、ほっペたを紅《あか》くし、軽袗《かるさん》の裾《すそ》のぬれるのも忘れて、雪の中を歩き回るほど大きくなっていた。
新しい春とは言っても山里はまだ冬ごもりのまっ最中である。半蔵の留守宅には、継母のおまんをはじめ、妻のお民、娘お粂《くめ》
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