に近い。目ざましい繁昌《はんじょう》を約束するようなその界隈《かいわい》は新しいものと旧《ふる》いものとの入れまじりで雑然紛然としていた。
今は旅そのものが半蔵の身にしみて、見るもの聞くものの感じが深い。もはや駕籠《かご》もすたれかけて、一人乗り、二人乗りの人力車《じんりきしゃ》、ないし乗合馬車がそれにかわりつつある。行き過ぎる人の中には洋服姿のものを見かけるが、多くはまだ身についていない。中には洋服の上に羽織《はおり》を着るものがあり、切り下げ髪に洋服で下駄《げた》をはくものもある。長髪に月代《さかやき》をのばして仕合い道具を携えるもの、和服に白い兵児帯《へこおび》を巻きつけて靴《くつ》をはくもの、散髪で書生羽織を着るもの、思い思いだ。うわさに聞く婦人の断髪こそやや下火になったが、深い窓から出て来たような少女の袴《はかま》を着け、洋書と洋傘《ようがさ》とを携えるのも目につく。まったく、十人十色の風俗をした人たちが彼の右をも左をも往《い》ったり来たりしていた。
不思議な縁故から、上京後の半蔵は、教部省御雇いとして一時奉職する身となった。ちょうど教部省は、文部省と一緒に、馬場先《
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