《いただ》くこと、法のごとくにそれを数えること、残った数から陰陽を割り出して算木《さんぎ》をならべること、すべて型どおりに行なったあとで、易者はまず伊之助のためにその年の運勢を占ったが、卦《け》にあらわれたところは至極《しごく》良い。砕いて言えば、願う事の成就《じょうじゅ》するかたちである。商売をすれば当たるし、尋ね物は出るし、待ち人は来るし、縁談はまとまるという。ところが、半蔵の順番になって、易者はまた彼のためにも占ったが、好運な隣人のような卦は出なかった。
 その時の半蔵を前に置いて、首をひねりながらの易者の挨拶《あいさつ》に、
「どうも、あなたが顔色の艶《つや》から言っても、こんなはずはないと思われるのですが。易のおもてで言いますると、この卦に当たった人は運勢いまだ開けずとあきらめて、年回りを畏《おそ》れ、随分身をつつしみ、時節の到来を待てとありますな。これはよいと申し上げたいが、どうもそう行きません。まあ、本年いっぱいはお動きにならない方がよろしい。」
 とある。
 半蔵はこの易者を笑えなかった。家に戻《もど》って旅のしたくを心がける間にも、彼は易者に言われたことから名状しがた
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