夜明け前
第二部下
島崎藤村

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)母《はは》刀自《とじ》の

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例亡《な》き父|吉左衛門《きちざえもん》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「木+鑞のつくり」、13−1]

 [#…]:返り点
 (例)※[#「糸+丸」、第3水準1−89−90]袴不[#二]餓死[#一]、儒冠多誤[#レ]身
−−

     第八章

       一

[#ここから2字下げ]
  母《はは》刀自《とじ》の枕屏風《まくらびょうぶ》に
いやしきもたかきもなべて夢の世をうら安くこそ過ぐべかりけれ
花紅葉《はなもみじ》あはれと見つつはるあきを心のどけくたちかさねませ
おやのよもわがよも老《おい》をさそへども待たるるものは春にぞありける
[#ここで字下げ終わり]
 新しく造った小屏風がある。娘お粂《くめ》がいる。長男の宗太《そうた》がいる。継母おまんは屏風の出来をほめながら、半蔵の書いたものにながめ入
次へ
全489ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
島崎 藤村 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング