交団だ。しばらく休息の時を与えるため、接待役の僧が一室に案内し、黒い裙子《くんし》を着けた子坊主《こぼうず》は高坏《たかつき》で茶菓なぞを運んで行って一行をもてなした。
寺の大広間は内外の使臣が会見室として、すでにその準備がととのえてある。やがて外人側は導かれて畳の上に並べた椅子《いす》に着いた。列藩の家老たちも来てそれぞれ着席する。まず東久世通禧の発話で各公使への挨拶《あいさつ》があった。それは日本の政体の復古した事、帝《みかど》自ら政権を執りたもう事、外国の交際も一切朝廷で引き受ける事は過日兵庫において布告したとおり相違のない旨《むね》を告げ、今回外国事務局を建てて交易通商一切の諸事件をことごとく取り扱うから、今日改めて朝廷守護の列藩と共に、各国公使に会同してこの盟約を定める旨を告げた。これには公使らも異議がない。帝はじめ列藩の諸侯が日本人民のために広く信睦《しんぼく》を求め、互いに誠実をもって交わろうということは、各国においてもかねがね渇望したところである、今後は帝の朝廷を日本の主府と仰いで、万事その政令を奉ずるであろう。公使らはその意味のことを答えた。
通禧はまた、言葉を改
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