に言わせると、今度の戦争は諸国を統一する御主旨でも、勝ち誇って帰る各藩有力者の頭をだれが抑《おさ》えるか。そういうことを言っていました。七百年来も武事に関しないお公家《くげ》さまが朝廷に勢力を占めたところで、所詮《しょせん》永続《ながつづ》きはおぼつかない。きっと薩摩《さつま》と長州が戦功を争って、不和を生ずる時が来る。そうなると、元弘《げんこう》、建武《けんむ》の昔の蒸し返しで、遠からずまた戦乱の世の中となるかもしれない。まあ、われわれは高知の方へ帰ったら、一層兵力を養って置いて、他日真の勤王をするつもりですとさ。ごらんなさい――土佐あたりの人はそんな気で、会津戦争に働いていましたよ。そりゃ一方に戦功を立てる藩があれば、とかく一方にはそれを嫉《ねた》んで、窮《こま》るように窮るようにと仕向ける藩が出て来る。こいつばかりは訴えようがない。そういうことをよく聞かされました。土佐もあれで今度の戦争じゃ、だいぶ鼻を高くしていますからね。」
 こんな話をも残した。
 千里が荒町の方へ帰って行った後、得右衛門と寿平次とは互いに顔を見合わせていて、容易に腰を持ち上げようとしない。禰宜の置いて行った
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