給金を増してくれと言い出すと、助郷だっても黙ってみちゃいますまい。」
「半蔵さん、君の意見はどうなんですか。」と寿平次がたずねる。
「そうですね。」と半蔵は受けて、「定助郷はぜひ置いてみたい。現在のありさまより無論いいと思います。しかし、自分一個の希望としては、わたしは別に考えることもあるんです。」
「そいつを話して見てください。」
「夢が多いなんて、また笑われても困る。」
「そんなことはありません。」
「まあ、お話しして見れば、たとえば公儀の御茶壺《おちゃつぼ》だとか、日光例幣使だとかですね、御朱印付きの証書を渡されている特別な御通行に限って、宿の伝馬役が無給でそれを継ぎ立てるような制度は改めたい。ああいう義務を負わせるものですから、伝馬役がわがままを言うようになるんです。継ぎ立てたい荷物は継ぎ立てるが、そうでないものは助郷へ押しつけるというようなことが起こるんです。つまり、わたしの夢は、宿の伝馬役と助郷の区別をなくしたい。みんな助郷であってほしい。だれでも、同じように助郷には勤めに出るというようにしたい。」
「万民が助郷ですか。なるほど、そいつは遠い先の話だ。」
「でも、寿平次さん
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