り》とも烏帽子《えぼし》陣羽織《じんばおり》のこしらえで、引き馬に乗りながら静かにその門前を通った。
「へえ、お土産《みやげ》。」
 と言って、大野屋の娘に付き添いの男が祝いの供え餅《もち》一重《ひとかさ》ねをお粂や宗太への土産にくれた。
「ええじゃないか、ええじゃないか。」
 宗太までが子供らしい声で、その口まねをして戯れる。
「宗太さま、それ、それ。」
 大野屋の男は手を打ってよろこんだ。その時、行列のわきを走りぬけて、お粂の病気見舞いかたがた半蔵を見に来たのは妻籠の寿平次だ。寿平次はそこに家のものと一緒に門前に立つ半蔵を見つけて言った。
「半蔵さん、この騒ぎは何事です。」
「それは君、わたしの方から言うことでしょう。」
「きのう福島から見えた客がありましてね。あの辺は今、お札の降る最中だと言っていましたっけ。」
「降る最中はよかった。」
「世の中が大きく変わる時には、このくらいの瑞兆《ずいちょう》があってもいいなんて、そんなことをさももっともらしく言い触らすものもありますぜ。なんだかわたしは狐《きつね》にでもツマまれたような気がする。」
「しかし、寿平次さん、馬籠あたりの百姓はこ
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