まで見送って、同じ道を自分の家へ引き返した。三人の客がわざわざ山吹村からさげて来てくれた祭典記念の神酒《みき》と菓子の折《おり》とがそのあとに残った。彼はそれを家の神棚《かみだな》に供えて置いて、そばへ来る妻に言った。
「お民、このお神酒《みき》は家じゅうでいただこうぜ。お菓子もみんなに分けようぜ。」
「きっと、お父《とっ》さんが喜びますよ。」
「おれもこれをいただいて、今夜はよく眠りたい。いろいろなことを考えるとおれは眠られなくなって来るよ。このおれの耳には、どれほどの騒がしい音が聞こえて来るかしれない。」
「あなたには眠られないということが、よくあるんですね。」
「ごらんな、景蔵さんもまた近いうちに京都へ出かけるそうだ。あの人もぐずぐずしちゃいられなくなったと見える。」
「あなた――あなたは家のものと一緒にいてくださいよ。お父さんのそばにいてくださいよ。あのお父さんも、いつどんなことがあるかしれませんよ。」
「そりゃお前に言われるまでもないサ。まあ、条山神社のお神酒《みき》でもいただいて、今夜はよく眠ることだ。こういう時世になって来ると、地方なぞはてんで顧みられない。おれのような縁
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