よこした。それには、今般長州征伐の件で格別の台命《たいめい》をこうむり病中を押して上京することになった、その上で西国筋へ出陣にも及ばねばならないということから始めて、この容易ならぬ用途はさらに見当もつかないほど莫大《ばくだい》なことであると書いてあり、従来|不如意《ふにょい》な勝手元でほかに借財の途《みち》もほとんど絶えている、この上は領民において入費を引き受けてくれるよりほかにない、これは木曾地方の領民にのみ負担させるわけでもない、もとよりこれまで追い追いと調達を依頼し実に気の毒な次第ではあるが、尋常ならぬ時勢をとくと会得《えとく》して今般の費用を調《ととの》えるよう、よくよく各村民へ言い聞かせてもらいたいとの意味が書いてあった。
この御隠居の依頼状に添えて、尾州家の年寄衆からも別に一通の回状を送ってよこした。それもやはり領民へ献金依頼のことを書いたもので、御隠居が直書《じきしょ》をもって仰せ出されるほどこの非常時の入費については心配しておらるる次第である、方今《ほうこん》の形勢は上下一致の力に待つのほかはない、領民一同報国の至誠を励むべき時節に差し迫ったと書いてあり、これまでとて
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