これを条山神社とすべきか、条山霊社とすべきか、あるいは国学霊社とすべきかはまだ決定しない。その社号は師平田|鉄胤《かねたね》の意見によって決定することにしたい。なお、四大人の御霊代《みたましろ》としては、先人の遺物を全部平田家から仰ぐつもりであるとの話で、片桐春一ははたから見ても涙ぐましいほどの熱心さでこの創立事業に着手しているとのことであった。
 その日の顔ぶれも半蔵らにはめずらしい。平素から名前はよく聞いていても、互いに見る機会のない飯田居住の同門の人たちがそこに集まっていた。駒場《こまば》の医者山田|文郁《ぶんいく》、浪合《なみあい》の増田《ますだ》平八郎に浪合|佐源太《さげんた》なぞの顔も見える。景蔵には親戚《しんせき》にあたる松尾誠(多勢子《たせこ》の長男)もわざわざ伴野《ともの》からやって来た。先師没後の同じ流れをくむとは言え、国学四大人の過去にのこした仕事はこんなにいろいろな弟子《でし》たちを結びつけた。
 その時、一室から皆の集まっている方へ来て、半蔵の肩をたたいた人があった。
「青山君。」
 声をかけたは暮田正香だ。半蔵はめずらしいところでこの人の無事な顔を見ることも
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