肩にした鉄砲と一緒に一羽の獲物《えもの》の山鳥をそこへおろしての猟師の答えだ。
清内路と聞くと、半蔵は炉ばたから離れて、その男の方へ立って行った。見ると、耳のとがった、尻尾《しっぽ》の上に巻き揚がった猟犬をも連れている。こいつはその鋭い鼻ですぐに炉ばたの方の焼餅の匂《にお》いをかぎつけるやつだ。
「妙なことを尋ねるようだが、お前はお関所の話をよく知らんかい。」と半蔵が言った。
「おれが何を知らすか。」と猟師は※[#「くさかんむり/稾」、172−6]頭巾を脱ぎながら答える。
「お前だって、あのお関所番のことは聞いたろうに。」
「うん、あの話か。おれもそうくわしいことは知らんぞなし。なんでも、水戸浪士が来た時に、飯田のお侍様が一人と、二、三十人の足軽の組が出て、お関所に詰めていたげな。そんな小勢でどうしようもあらすか。通るものは通れというふうで、あのお侍様も黙って見てござらっせいたそうな。」と言って、猟師は気をかえて、「おれは毎日鉄砲打ちで、山ばかり歩いていて、お関所番の亡《な》くなったこともあとから聞いた。そりゃ、お前さま、この茶屋の婆さんの方がよっぽどくわしい。おれはこんな犬を相
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