》の声が半蔵の耳にはいった。にわかに明るい日の光は、屋外《そと》にある杉《すぎ》の木立ちを通して、社殿に満ちて来た。彼は、単純な信仰に一切を忘れているような他の参籠者を目の前にながめながら、雑念の多い自己《おのれ》の身を恥じた。その夕方には、禰宜《ねぎ》が彼のそばへ来て、塩握飯《しおむすび》を一つ置いて行った。


 四日目には半蔵はどうやら心願を果たし、神前に終わりの祷《いの》りをささげる人であった。たとい自己《おのれ》の寿命を一年縮めてもそれを父の健康に代えたい、一年で足りなくば二年三年たりともいとわないというふうに。
 社殿を出るころは、雨が山へ来ていた。勝重は傘《かさ》を持って、禰宜《ねぎ》の家の方から半蔵を迎えに来た。乾燥した草木をうるおす雨は、参籠後の半蔵を活《い》き返るようにさせた。
「勝重さん、君はどうしました。」
 社殿の外にある高い岩壁の下で、半蔵がそれを言い出した。彼も三日続いた沈黙をその時に破る思いだ。
「お師匠さま、お疲れですか。わたしは一日だけお籠《こも》りして、あとはちょいちょいお師匠さまを見に来ました。きのうはこのお宮のまわりをひとりで歩き回りました。い
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