、同志の中には縛に就《つ》いたものもある。正香は二昼夜兼行でその難をのがれて来たことを半蔵の前に白状したのであった。
正香に言わせると、将軍|上洛《じょうらく》の日も近い。三条河原の光景は、それに対する一つの示威である、尊王の意志の表示である、死んだ武将の木像の首を晒《さら》しものにするようなことは子供らしい戯れとも聞こえるが、しかしその道徳的な効果は大きい、自分らはそれをねらったのであると。
この先輩の大胆さには、半蔵も驚かされた。「物学びするともがら」の実行を思う心は、そこまで突き詰めて行ったかと考えさせられた。同時に、平田|大人《うし》没後の門人と一口には言っても、この先輩に水戸風な学者の影響の多分に残っていることは争えないとも考えさせられた。
「だれか君を呼ぶ声がする。」
正香は戸に近づく人のけはいを聞きとがめるようにして、耳のところへ手をあてがった。半蔵も耳を澄ました。お民だ。彼女は佐吉に手伝わせて客の寝道具をそこへ持ち運んで来た。
「暮田さん、非常にお疲れのようですから、これでわたしも失礼します。お話はあす伺います。お休みください。」
そのまま半蔵は正香のそばを離れ
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