応じ、尽忠報国をまっこうに振りかざし、京都の市中を騒がす攘夷《じょうい》党の志士浪人に対抗して、幕府のために粉骨砕身しようという剣客ぞろいだ。一道の達人、諸国の脱藩者、それから無頼《ぶらい》な放浪者なぞから成る二百四十人からの群れの腕が馬籠の問屋場の前で鳴った。
二月も末になって、半蔵のところへは一人《ひとり》の訪問者があった。宵《よい》の口を過ぎたころで、道に迷った旅人なぞの泊めてくれという時刻でもなかった。街道もひっそりしていた。
「旦那《だんな》、大草仙蔵《おおぐさせんぞう》というかたが見えています。」
囲炉裏《いろり》ばたで※[#「くさかんむり/稾」、295−11]造《わらづく》りをしていた下男の佐吉がそれを半蔵のところへ知らせに来た。
「大草仙蔵?」
「旦那にお目にかかればわかると言って、囲炉裏ばたの入り口の方においでたぞなし。」
不思議に思って半蔵は出て見た。京都方面で奔走していると聞いた平田同門の一人が、着流しに雪駄《せった》ばきで、入り口の土間のところに立っていた。大草仙蔵とは変名で、実は先輩の暮田正香《くれたまさか》であった。
「青山君、君にお願いがあって来
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