は三年目ごとに一度、御三家や溜詰《たまりづめ》は一月《ひとつき》ずつ江戸におれとありますがね、奥方や若様は帰国してもいいと言うんですから、まあほとんど骨抜きに近いようなものでしょう。」
夕方になるととかく疲れが出て引きこもりがちな吉左衛門が、その晩のように上の伏見屋まで歩こうと言い出したことは、病後初めての事と言ってもよかった。この父は久しぶりで家を出て見るというふうで、しばらく門前にたたずんで、まだ暮れ切らない街道の空をながめた。
「半蔵、この街道はどうなろう。」
「参覲交代がなくなったあとにですか。」
「そりゃ、お前、参覲交代はなくなっても、まるきり街道がなくなりもしまいがね。まあ、金兵衛さんにもあって、話して見るわい。」
心配してついて行く半蔵に助けられながら、吉左衛門は坂になった馬籠の町を非常に静かに歩いた。右に問屋、蓬莱屋《ほうらいや》、左に伏見屋、桝田屋《ますだや》なぞの前後して新築のできた家々が両側に続いている。その間の宿場らしい道を登って行くと、親子|二人《ふたり》のものはある石垣《いしがき》のそばで向こうからやって来る小前《こまえ》の百姓にあった。
百姓は吉左衛
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