、かねて待ち受けていた御用の送り荷が順に到着するようになった。この送り荷は尾州藩の扱いで、奥筋のお泊まり宿へ送りつけるもの、その他|諸色《しょしき》がたくさんな数に上った。日によっては三留野《みどの》泊まりの人足九百人、ほかに妻籠《つまご》泊まりの人足八百人が、これらの荷物について西からやって来た。
「寿平次さんも、妻籠の方で目を回しているだろうなあ。」
 それを思う半蔵は、一方に美濃中津川の方で働いている友人の香蔵を思い、この際京都から帰って来ている景蔵を思い、その話をよく伊之助にした。馬籠では峠村の女馬まで狩り出して、毎日のようにやって来る送り荷の継立てをした。峠村の利三郎は牛行司《うしぎょうじ》ではあるが、こういう時の周旋にはなくてならない人だった。世話好きな金兵衛はもとより、問屋の九太夫、年寄役の儀助、同役の新七、同じく与次衛門《よじえもん》、それらの長老たちから、百姓総代の組頭《くみがしら》庄兵衛《しょうべえ》まで、ほとんど村じゅう総がかりで事に当たった。その時になって見ると、金兵衛の養子伊之助といい、九太夫の子息《むすこ》九郎兵衛といい、庄兵衛の子息庄助といい、実際に働ける
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