どうも人足や馬が足りそうもない。おれはこれから中津川へ打ち合わせに行って、それから京都まで出かけて行って来るよ。」
「お父《とっ》さん、大丈夫ですかね。」
 親子はこんな言葉をかわした。道中奉行所から渡された御印書によって、越後《えちご》越中《えっちゅう》の方面からも六十六万石の高に相当する人足がこの御通行筋へ加勢に来ることになったが、よく調べて見ると、それでも足りそうもないと言う父の話は半蔵を驚かした。
「美濃の方じゃ、お前、伊勢路《いせじ》からも人足を許されて、もう触れ当てに出かけたものもあるというよ。美濃の鵜沼宿《うぬましゅく》から信州|本山《もとやま》まで、どうしても人足は通しにするよりほかに方法がない。おれは京都まで御奉行様のあとを追って行って、それをお願いして来る。おれも今度は最後の御奉公のつもりだよ。」
 この年老いた父の奮発が、半蔵にはひどく案じられてならなかった。そうかと言って、彼が父に代わられる場合でもない。街道には街道で、彼を待っている仕事も多かった。その時、継母のおまんも父のそばに来て、
「あなたも御苦労さまです。ほんとに、万事大騒動になりましたよ。」
 と案じ
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