》直したびてな
眼《め》のまへに始むることもよくしあらば[#「よくしあらば」は底本では「よくあらば」]惑ふことなくなすべかりけり
正道《まさみち》に入り立つ徒《とも》よおほかたのほまれそしりはものならなくに
[#ここで字下げ終わり]
半蔵の述懐だ。
三
旧暦九月も末になって、馬籠峠へは小鳥の来るころになった。もはや和宮様お迎えの同勢が関東から京都の方へ向けて、毎日のようにこの街道を通る。そうなると、定例の人足だけでは継立《つぎた》ても行き届かない。道中奉行所の小笠原美濃守《おがさわらみののかみ》は公役としてすでに宿々の見分に来た。
十月にはいってからは、御通行準備のために奔走する人たちが一層半蔵の目につくようになった。尾州方《びしゅうかた》の役人は美濃路から急いで来る。上松《あげまつ》の庄屋は中津川へ行く。早駕籠《はやかご》で、夜中に馬籠へ着くものすらある。尾州の領分からは、千人もの人足が隣宿美濃|落合《おちあい》のお継《つ》ぎ所《しょ》(継立ての場所)へ詰めることになって、ひどい吹き降《ぶ》りの中を人馬共にあの峠の下へ着いたとの報知《しらせ》もある。
「半蔵、
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