そ》。それに胡瓜《きゅうり》もみ、茄子《なす》の新漬《しんづ》けぐらいのところで、半蔵と寿平次とは涼しい風の来る店座敷の軒近いところに、めいめい膳《ぜん》を控えた。
「ここへ来ると思い出すなあ。あの横須賀行きの半蔵さんを誘いに来て、一晩泊めていただいたのもこの部屋《へや》ですよ。」
「あの時分と見ると、江戸も変わったらしい。」
「大変《おおか》わり。こないだも江戸|土産《みやげ》を吾家《うち》へ届けてくれた飛脚がありましてね、その人の話には攘夷論《じょういろん》が大変な勢いだそうですね。浪人は諸方に乱暴する、外国人は殺される、洋学者という洋学者は脅迫される。江戸市中の唐物店《とうぶつや》では店を壊《こわ》される、実に物すごい世の中になりましたなんて、そんな話をして行きましたっけ。」
「表面だけ見れば、そういうこともあるかもしれません。」
「しかし、半蔵さん、こんなに攘夷なんてことを言い出すようになって来て――それこそ、猫《ねこ》も、杓子《しゃくし》もですよ――これで君、いいでしょうかね。」
 疲労を忘れる程度に盃《さかずき》を重ねたあとで、半蔵はちょっと座をたって、廂《ひさし》から外の
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