、その篩《ふるい》が天に登って、異国へ飛んで往《い》ったともいう。これを見たものはびっくりして、これは必ず切支丹《キリシタン》に相違ないと言って、皆大いに恐懼《おそれ》を抱《いだ》いたとの話もある。
異国に対する無知が、およそいかなる程度のものであったかは、黒船から流れ着いた空壜《あきびん》の話にも残っている。アメリカのペリイが来航当時のこと、多くの船員を乗せた軍艦からは空壜を海の中へ投げすてた。その投げすてられたものが風のない時は、底の方が重く口ばかり海面に出ていて、水がその中にはいるから、浪《なみ》のまにまに自然と海岸に漂着する。それを拾って黙って家に持ちかえるものは罰せられた。だから、こういうものが流れ着いたと言って、一々届け出なければならない。その時の役人の言葉に、これは先方で毒を入れて置くものに相違ない、もしこの中に毒がはいっていたら大変だ、さもなければこんなものを流す道理もない、きっと毒が盛ってあって日本人を苦しめようという軍略であろう、ついては一か所捨て置く場所を設ける、心得違いのものがあって万一届け出ない場合があったら直ちに召し捕《と》るとのきびしい触れを出したものだ
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