醉歌
 哀歌
 秋思
 初戀
 狐のわざ
 髮を洗へば
 君がこゝろは
 傘のうち
 秋に隱れて
 知るや君
 秋風の歌
 雲のゆくへ
 母を葬るのうた
 合唱
  一 暗香
  二 蓮花舟
  三 葡萄の樹のかげ
  四 高樓
 ゆふぐれしづかに
 月夜
 強敵
 別離
 望郷
 かもめ
 流星
 君と遊ばむ
 晝の夢
 四つの袖
 ※[#「奚+隹」、第3水準1−93−66]
 林の歌

一葉舟より

 鷲の歌
 白磁花瓶賦
 銀河
 きりぎりす
 春やいづこに

夏草より

 子兎のうた
 晩春の別離
 うぐひす
 かりがね
 野路の梅
 門田にいでて
 寶はあはれ碎けけり
 新潮

落梅集より

 常盤樹
 寂寥
 千曲川旅情の歌
  一
  二
 鼠をあはれむ
 勞働雜詠
  一 朝
  二 晝
  三 暮
 爐邊雜興
 黄昏
 枝うちかはす梅と梅
 めぐり逢ふ君やいくたび
 あゝさなり君のごとくに
 思より思をたどり
 吾戀は河邊に生ひて
 吾胸の底のこゝには
 君こそは遠音に響く
 こゝろをつなぐしろかねの
 罪なれば物のあはれを
 風よ靜かにかの岸へ
 椰子の實
 浦島
 舟路
 鳥なき里
 藪入
 惡夢
 響りん/\音りん/\
 翼なければ
 罪人と名にも呼ばれむ
 胡蝶の夢
 落葉松の樹
 ふと目はさめぬ
 縫ひかへせ

[#改丁]

  若菜集より
     明治二十九年――同三十年
          (仙臺にて)

[#改丁]

 序のうた


心《こゝろ》無《な》き歌のしらべは
一房《ひとふさ》の葡萄のごとし
なさけある手にも摘《つ》まれて
あたゝかき酒となるらむ

葡萄棚ふかくかゝれる
紫《むらさき》のそれにあらねど
こゝろある人のなさけに
蔭に置く房の三つ四つ

そは歌の若きゆゑなり
味ひも色も淺くて
おほかたは噛《か》みて捨つべき
うたゝ寢の夢のそらごと
[#改ページ]

 草枕


夕波くらく啼く千鳥
われは千鳥にあらねども
心の羽《はね》をうちふりて
さみしきかたに飛べるかな

若き心の一筋に
なぐさめもなくなげきわび
胸の氷のむすぼれて
とけて涙となりにけり

蘆葉《あしは》を洗ふ白波の
流れて巖《いは》を出づるごと
思ひあまりて草枕
まくらのかずの今いくつ

かなしいかなや人の身の
なきなぐさめを尋ね侘び
道なき森に分け入りて
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