Aやさしい言葉も生れて來たのである。まつたく、幼いものに話しかけることの樂しさ。もしその言葉が子供の耳にも入り易くて、直ぐにも彼等に親しまれるとしたら、どんなにうれしからう。もし又、その言葉が子供にとつて面白いばかりでなく、彼等幼いもののおのづからな性情を養ひ、その胸を開かせることに役立つとしたら、どんなにうれしからうと、君が新著のはじに書きつけておくる。

     文壇出世作全集
[#天から10字下げ](中央公論社創立五十周年の記念に)

 これまで文筆に從事するものが各自の作品を持ち寄つて一つの集をつくり、友とする人、あるひは師とする人に贈つたといふことはあるが、こゝにわたしたちが作品を持ち寄つたやうに雜誌經營者の多年の骨折に報ゆるため一つの集をつくることは、おそらくこれを初めとする。
 今更言ふまでもないが、いかに筆執り物を書く英才が雲のやうに起る時代でも、適當な發表の機關なしには叶はぬこと。明治以來の新しい文學がとにもかくにも民間の事業として今日までの發達を見たことは、いさゝかわたしたちが自らの慰めとし勵ましともするところであるが、それにはわたしたちに幾多の舞臺を提供して呉れ
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