ソがつた『青年』があつて、あたかも古葉のためにも煩はされずに、絶えず若葉する老樹のやうな力を持ち、晩年になつてもまだその力が衰へずにあつたかと思はれる。

     シェークスピア
[#天から10字下げ](坪内逍遙博士が修訂完譯のシェークスピア全集成る)

 シェークスピアを讀み直して見ることは、ある意味に於いて西洋文學を讀み直して見ることである。これはひとり東洋人ばかりでなく、西洋人にとつてもまた大切なことで、これまで幾度かその讀み直しが行はれ、そこから獨逸流の新解釋も生れ、佛蘭西風の見方も起り、トルストイのやうな人の異説ともなつた。われらとてもシェークスピアの如き西洋文學の代表的な作者をよく知らねばならない。今日國文學の研究熱がさかんに興つて來てゐる時に當つて、シェークスピア全集讀み直しの機會が與へられたことは、偶然なこととも思はれない。過去の經驗によれば、國文學の復興はたゞ單獨にはやつて來ない。それには必ず外國文學に對する新しい情熱を伴ふ。その意味から言つても、今囘中央公論社の發起によつて、坪内博士の新修シェークスピア全集が發行される日の來たことをわたしは多くの讀者諸君と共に悦び
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