どんな嫁さんだって食べられやしません」
豊世やお仙は笑った。お種も苦笑して、
「三吉、そうまあ俺を責めずに、一つこの身体を見てくれよ。俺はこういうものに成ったよ――」
と言って、着物の襟《えり》をひろげて、苦み衰えた胸のあたりを弟に出して見せた。骨と皮ばかりと言っても可かった。萎《しな》びた乳房は両方にブラリと垂下っていた。三吉は、そこに姉の一生を見た。
「エライもんじゃないか」
とお種は自分で自分の身体を憐《あわれ》むように見て、復《ま》た急に押隠した。満洲の実から彼女へ宛《あ》てて来た手紙が文机《ふづくえ》の上にあった。彼女はそれを弟に見せようとして、起って行った。
「ア、ア、ア、ア――」
思わずお種は旧い家の内へ響けるような大欠伸《おおあくび》をした。
幸作は表座敷に帳簿を調べていた。優雅な、鷹揚《おうよう》な、どことなく貴公子らしい大旦那のかわりに、進取の気象に富んだ若い事務家が店に坐った。達雄の失敗に懲りて、幸作はすべて今までの行き方を改めようとしていた。暮しも詰めた。人も減らした。炉辺に賑やかな話声が聞えようが、聞えまいが、彼はそんなことに頓着《とんじゃく》し
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