う目に遭遇《でっくわ》したんだからネ……実際あの晩はエラかったよ……」
「私なぞは、叔父さん、すくなくも十年|寿命《じゅみょう》が縮みました」
「ホラ、君と二人で最後に公園の内を探って、広小路へ出て来ると、あの繁華な場処に人一人通らずサ……あの時、君は下谷の方面を探り給え、僕は浅草橋通りをもう一遍捜してみようッて言って、二人で帽子を脱《と》って別れましたろう――あの時は、君、何とも言えない感じがしたネ」
「そうそう、一つ踏外すと皆な一緒にどうなるかと思うような……こりゃあウカウカしちゃあいられない、そう思って、私は上野の方へ独《ひと》りで歩いて行きました」
水を打ったような深夜の道路、互に遠ざかりながら聞いた幽《かす》かな足音――未だそれは二人の眼にあり耳にあった。
女達が集って来た。親類の話が始まった。遠く満洲の方に居る実のことが出るにつけても、お種は夫の達雄を思出すらしかった。お俊《しゅん》の結婚も何時あるかなどと噂《うわさ》した後で、三吉は辞して行った。
お仙を残して置いて、お種は独《ひと》りで弟の家族に逢いに行った。
三吉の家では、お雪が子供に着物を着更えさせるやら
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