る――おまけに明日は晦日《みそか》という難関を控えている」
 こう言って、正太は鋭い眼付をした。
「さアさ」とお種は浴衣《ゆかた》の襟《えり》を掻合《かきあわ》せながら、家中を見廻して、「出来たことは仕方が有りません。とにかく一時頃まで皆なに休んで貰って、三吉と正太には気の毒だが、それからもう一度捜しに行って貰わず。三吉、すこし寝たが可いぞや。老婆《ばあさん》もそこで横にお成りや――それにかぎる」
 寝ろと言われても、誰も寝られるものは無かった。第一、そういうお種が眠らなかった。すこし横に成って見た人も、何時の間にか起きて、皆なの話に加わった。十二時頃、一同夜食した。
 時計が一時を打つ頃、三吉、正太の二人は更に仕度《したく》して出掛けることに成った。
「叔父さん、風邪《かぜ》を引くといけませんよ――シャツでも進《あ》げましょう」と言って、正太は豊世の方を見て、「股引《ももひき》も出して進げな」
「じゃあ、拝借するとしよう」と三吉が言った。
 三吉は股引に尻端折《しりはしょり》。正太もきりりとした服装《なり》をして、夏帽子を冠って出た。


「姉さん、お仙ちゃんが帰って来たそうですネ―
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