に見えてる……」
「先ずそういうことに成って行きそうですナ」
「そこですよ、私が心配して遣《や》るのは。旦那もネ、橋本の家で生れた人ですから、何卒《どうか》して私は……あの家で死なして遣りたくてサ」
 喧嘩《けんか》でもしたか、子供が泣出した。お種は三吉の傍を離れて、子供の方へ行った。


 幼い子供達は間もなくお種に取って、離れがたいほど可愛いものと成った。肩へ捉《つか》まらせるやら、萎《しな》びた乳房を弄《なぶ》らせるやら、そんな風にして付纏《つきまと》われるうちにも、何となくお種は女らしい満足を感じた。夫に捨てられた悲哀《かなしみ》も、いくらか慰められて行った。
 炉辺に近い食卓の前には、お房とお菊とが並んで坐った。伯母は二人に麦香煎《むぎこがし》を宛行《あてが》った。お房は附木《つけぎ》で甘そうに嘗《な》めたが妹の方はどうかすると茶椀《ちゃわん》を傾《かし》げた。
「菊ちゃん、お出し」と言って、お種は妹娘《いもうと》の分だけ湯に溶かして、「どれ、着物《おべべ》がババく成ると不可《いけな》いから、伯母さんが養って進《あ》げる」
 子供にアーンと口を開かせる積りで、思わず伯母は自分
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