ってくれるで、私も暫時《しばらく》彼《あれ》の方へ行って厄介に成るわいなし」とお種が言った。
「そりゃ、まあ結構です――三吉さんは私共へも一寸寄って下さいました」とお倉は寂しそうに笑いながら、「私がこんな幽霊のような頭髪《あたま》をしていたもんですから、三吉さんも驚いて逃げて行って了いました……」
「私でも、ドモナラン」
この「ドモナラン」は茶盆をそこへ取出したお俊を笑わせた。
「俊」とお倉は娘の方を見て、「貰ったお茶が有ったろう」
「母親さん、あのお茶は最早《もう》駄目よ」とお俊はすこし顔を紅くした。
「お倉さん、番茶で沢山です。そんなに関《かま》って下さると、生家《さと》へ来たような気がしない……」とお種は快活らしく笑って、
「そう言えば、三吉も可笑《おか》しなことを言う奴だテ。私が豊世を連れて彼《あれ》の宿まで逢いに行きましたら、何をまた彼が言出すかと思うと、何処《どこ》も彼処《かしこ》も後家さんばかりに成っちゃった――なんて。私は怒ってやった」
「真実《ほんと》に、皆な後家さんのようなものですよ――でも、姉さんなぞは未だ好う御座んすサ。私を御覧なさいな。私くらい運の悪い者は無
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