《つ》いて、忰《せがれ》夫婦の言うことに何処か判然《はっきり》しないところがある。どうも隠しているらしく思われるところが有る。もし嫁が聞知っているものとすれば、何とか言い賺《すか》して、夫の行方を突留めたい。こう思った。お種は、もうすこしもうすこしと、伊東に嫁を引留めて置きたくてならなかった。
「では、母親さん、こういうことにしましょう。私にもどうして可いか解りませんからネ、森彦叔父さんに一つ指図《さしず》して頂きましょう……森彦叔父さんが居た方が可いと仰ったら、居ましょう」
 豊世はこんな風に言出した。
 森彦からは返事が来た。それには豊世の願った通りのことが書いてあった。豊世は早く上京して前途の方針を定めよとあるし、姉は今しばらく伊東で静養するように、そのうちには自分も訪ねて行くとしてあった。
 二月の末に成って、漸く豊世は姑の側を離れて行くことに決めた。
「もうすこし、お前に居て貰いたいよ。私独りに成って御覧、どんなに心細いか知れない」とお種は萎《しお》れた。
「ええ、私もこうして居たいんですけれど……居られるものなら、一日でも余計……」
 こう言いながら、嫁はサッサと着物を着更
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