居も隣室《となり》へ来ておいでる……それで先刻《さっき》ああは言ってみたが、大概私も国の方のことは察しておるわい」
「実叔父さんの応援さえしなかったら、こんなことには成らなかったかも知れない」と正太が言った。「しかし、今と成ってみれば、それも愚痴だ。父親《おとっ》さんも苦しく成って来たから応援した――要するに、是方《こっち》の不覚だ」
「実叔父さんもどうしてあんなことを成すったんでしょう。必《きっ》と誰かに欺《だま》されたんでしょうねえ」こう豊世は言った。
 母は引取って、「ホラ、私が伊東へ来る前に、実のことで裁判所から調べに来たろう――私はあれが気に成って気に成って仕方が無かった。田舎《いなか》のことだもの、お前、尾鰭《おひれ》を付けて言い触らすさ」
「あれでパッタリ融通が止った」と正太は言った。
「大方そんなことだらずと思った」と母も考えて、「銀行の用だ、銀行の用だと仰って、何度父親さんも東京へ出たか知れない……東京で穴埋が出来なかったと見えるテ。それで、何かや、後はどう成ったかや」
「成るようにしか成りません」と正太は力を入れて、「森彦叔父さんにも国の方へ行って頂く積りです」

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