畢竟《つまり》心に休息の無いのは同じことです」
「それは、君、男の遺伝性の野心だ。野心もそういう風に伝わって来れば、寧《むし》ろ尊いサ」と西が笑った。
「そうかナア」と記者は更に嘆息して、「――所詮《とても》自然を突破るなんてことは出来ない。突破るなら、死ぬより外に仕方が無い。そうかと言って、自然に従うのは厭《いや》です。何故厭かと言うに、あまり残酷じゃ有りませんか……すこしも人を静かにして置かないじゃ有りませんか……私は、ですから、働かなけりゃ成らんという心持から退《の》いて、書籍《ほん》も読みたければ読む、眠たければ眠る、という自由なところが欲しいんです」
「僕もそう思うことが有るよ」と西は記者の話を引取った。「有るけれども、言わないのサ――言うと、ここの主人に怒られるから――小泉君は、働くということに一種の考えが有るんだねえ。僕は疾《とう》からそう思ってる」
「実際――Lifeは無慈悲なものです」
 と復た記者が言った。
「君、君」と西は記者の方を見て、「真実《ほんとう》に遊ぶということは、女にばかり有ることで、男には無いサ。み給え――小説を読んでさえそうだ、只《ただ》は読まない
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