らしてやれッて、相談していたんだとサ――油断が成らない――人の悪い連中が揃《そろ》っているんだからね」
西は葉巻の灰を落しながら、粗末な部屋の内を見廻したり、こういう地方に来て引籠《ひきこも》っている三吉の容子《ようす》を眺《なが》めたりした。三年ばかり山の上で暮すうちに、三吉も余程田舎臭く成った。
「B君は寒いでしょう。御免|蒙《こうむ》って外套《がいとう》を着給え」と西は背広を着た記者に言ってみて、自分でもすこし肩を動《ゆす》った。「どうも、寒い処だねえ――こんなじゃ有るまいと思った」
お雪はいそいそと茶を運んで来た。西は旅で読むつもりの書籍《ほん》を取出して、それを三吉の前に置いて、
「小泉君、これは未だ御覧なさらないんでしょう。中村に何か旅で読む物はないかッて、聞いたら、これを貸してくれました。その葉書の入ってるところまで、読んでみたんです――それじゃ御土産がわりに置いて行きましょう――葉書は入れといてくれ給え」
記者もその書籍《ほん》を手に取って見た。「私のように仕事にばかり追われてるんじゃ仕様が有りません。すこし静かな処へ引込んで、こういう物を読む暇が有ったら、と
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