づら》の荷物を上《あが》り端《はな》のところへ卸した様子は、いかに旅の苦痛に耐えて、それに又慣らされているかということを思わせる。嘉助は草鞋《わらじ》の紐《ひも》を解いて上った。
「是方《こちら》でも子供衆が出来さっせえて、御新造さんも手が有らっせまいで、寄るだけは寄れ、御厄介には成るな――こう姉様《あねさま》から言付かって来ました」と嘉助が言った。
「まあ、そんなことを言わなくても可い。是非泊って行って下さい、姉さんの家の話も種々《いろいろ》伺いたい」
と三吉は引留めて、一年に一度ずつ宿をすることに定《き》めていると言った。お雪も勝手の方から飛んで来た。
嘉助は橋本の家を出て最早《もう》足掛二月に成るという。この長い行商の旅は、ずっと以前から仕来《しきた》ったことで、橋本の薬といえば三吉が住む町のあたりまで弘まっていた。燈火《あかり》の点く頃から、お雪も嘉助の話を聞こうとして、子供を抱きながら夫の傍へ来た。
「女のお児さんかなし。子供衆の持薬《じやく》には極く好いで、すこし置いていかず」
こう嘉助が言って、土産がわりに橋本の薬を取出した。
「貴方のところでもお嫁さんがいらしった
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