伊豆の旅
島崎藤村

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)大仁《おほひと》へ

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)皆|十文《ともん》だ

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)[#「女+無」、第4水準2−5−80]《ひきつ》ける

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)われ/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

 汽車は大仁《おほひと》へ着いた。修善寺通ひの馬車はそこに旅人を待受けて居た。停車場を出ると、吾儕《われ/\》四人は直に馬車屋に附纏はれた。其日は朝から汽車に乘りつゞけて、最早《もう》乘物に倦んで居たし、それに旅のはじめで、伊豆の土を踏むといふことがめづらしく思はれた。吾儕は互に用意して來た金でもつて、出來[#「出來」は底本では「來出」]るだけ斯の旅を樂みたいと思つた。K君、A君、M君、揃つて出掛けた。私は煙草の看板の懸けてある小さな店を見つけて、敷島を二つ買つて、それから友達に追付いた。
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