ひ》いて行《い》くやうにして呉《く》れました。
六八 沓掛《くつかけ》の温泉宿《をんせんやど》
今《いま》だに父《とう》さんはあの『みさやま峠《たうげ》』の山越《やまご》しを忘《わす》れません。草臥《くたぶ》れた足《あし》をひきずつて行《い》きまして、日暮方《ひくれがた》の山《やま》の裾《すそ》の方《はう》にチラ/\チラ/\燈火《あかり》のつくのを望《のぞ》んだ時《とき》の嬉《うれ》しかつた心持《こゝろもち》をも忘《わす》れません。
その燈火《あかり》のついて居《ゐ》るところが、沓掛《くつかけ》の温泉宿《をんせんやど》でした。
六九 乘合馬車《のりあひばしや》
沓掛《くつかけ》まで行《い》きましたら、やうやくその邊《へん》から中仙道《なかせんだう》を通《かよ》ふ乘合馬車《のりあひばしや》がありました。
それから父《とう》さんは伯父《をぢ》さんや吉《きち》さんや友伯父《ともをぢ》さんと一緒《いつしよ》に東京行《とうきやうゆき》の馬車《ばしや》に乘《の》りまして、長《なが》い長《なが》い中仙道《なかせんだう》の街道《かいだう》を晝《ひる》も夜《よる》も乘《の》りつゞけに
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