ら、木曽川《きそがは》はそれよりも大《おほ》きな川《かは》でした。

   六三 御休處《おんやすみどころ》

何《なん》といふ深《ふか》い山《やま》や谷《たに》が父《とう》さんの行《ゆ》く先《さき》にありましたらう。父《とう》さんは木曽川《きそがは》の見《み》える谷間《たにあひ》について、林《はやし》の中《なか》を歩《ある》いて行《ゆ》くやうなものでした。どうかすると晝間《ひるま》でも暗《くら》いやうな檜木《ひのき》や杉《すぎ》のしん/\と生《は》えて居《ゐ》るところを通《とほ》ることもありました。あゝこれが三留野《みとめの》といふところか、これが須原《すはら》といふところか、と思《おも》ひまして、初《はじ》めて見《み》る村々《むら/\》が父《とう》さんにはめづらしく思《おも》はれました。何《なに》もかも父《とう》さんには初《はじ》めてゞした。高《たか》い山《やま》の上《うへ》の方《はう》から村《むら》はづれの街道《かいだう》のところまで押《お》し寄《よ》せて來《き》て居《ゐ》る黒《くろ》い岩《いは》だの石《いし》だのを見《み》るのも初《はじ》めてゞした。
父《とう》さんが東京《とう
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