もなかなか遠かったと話した。
「それは御苦労さま。ゆうべもお前は遅くまで起きて俺の側に附いていてくれたのい。お気の毒だったぞや」
こうおげんの方から言うと、熊吉は、額のところに手をあてて、いくらか安心したような微笑《えみ》を見せた。
「俺にそんなところへ入れという話なら、真平《まっぴら》」とまたおげんが言った。「俺はそんな病人ではないで。何だかそんなところへ行くと余計に悪くなるような気がするで」
「姉さんはそういうけれど、私の勧めるのは養生園ですよ。根岸の病院なぞとは、病院が違います。そんなに悪くない人が養生のために行くところなんですから、姉さんには丁度好かろうかと思うんです。今日は私も行って見て来ました。まるで普通の家でした。そこに広い庭もあれば、各自《めいめい》の部屋もあれば、好いお薬もある。明日にも姉さんが行きさえすれば、入れるばかりにして来ました。保養にでも出掛けるつもりで行って見たら、どうです」
「熊吉や、そんなことを言わないで、小さな家でも一軒借りることを心配してくれよ。俺は病院なぞへ入る気には成らんよ」
「しかし姉さんだっても、いくらか悪いぐらいには自分でも思うんでしょ
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