賤事業弁
北村透谷
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)賤《いや》しむ
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から2字上げ](明治二十六年五月)
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)抑《そも/\》
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事業を賤《いや》しむといふ事は「文学界」が受けたる攻撃の一なり。而して此攻撃たるや、恐らく余が「人生相渉論」を誤読したるより起りたる者なるべしと思へば、爰《こゝ》に一言するの止むべからざるを信ずるなり。
余は先づ「事業」とは如何《いか》なる者なりやを問はざるべからず。次に文学は「事業」といふ標率を以て論ずべき者なりや否やを、問はざる可からず。
余は文学といふ女神は、寧《むし》ろ老嬢として終るも、俗界の神なる「事業」に嫁《か》することを否むべしと言ひたり。その斯く言ひたるは、「事業」を以て文学を論ずる標率とするを難じたるものにして、事業其れ自身に就きて何とも云はざりしなり。然るに横鎗《よこやり》の人々は己れの事業を侵されしかの如く、頻《しき》りに此事に向つて鋒先を揃へて攻戦するは豈《あ
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