富嶽の詩神を思ふ
北村透谷

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)空《くう》を

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)紅顔|今日《けふ》の白頭

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「二点しんにょう+貌」、第3水準1−92−58]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)悠々《いう/\》
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 空《くう》を望んで駿駆する日陽、虚に循《したが》つて警立する候節、天地の運流、いつを以て極みとはするならん。
 朝《あした》に平氏あり、夕《ゆふべ》に源氏あり、飄忽《へうこつ》として去り、飄忽として来《きた》る、一潮《いつてう》山を噬《か》んで一世紀没し、一潮退き尽きて他世紀来る、歴史の載するところ一潮毎に葉数を減じ、古苔《こたい》蒸し尽して英雄の遺魂日に月に寒し。
 嗟吁《あゝ》人生の短期なる、昨日《きのふ》の紅顔|今日《けふ》の白頭。忙々促々として眼前の事に営々たるもの、悠々《いう/\》綽々《しやく/\》とし
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