徳川氏時代の平民的理想
北村透谷

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)彼らの中《うち》に

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)禅味|飄逸《へういつ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+僉」、第3水準1−84−94]

 [#…]:返り点
 (例)或未[#三]必合[#二]於義[#一]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)偶《たま/\》
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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     (第一)

 焉馬、三馬、源内、一九等の著書を読む時に、われは必らず彼等の中《うち》に潜める一種の平民的虚無思想の絃《いと》に触るゝ思あり。就中《なかんづく》一九の著書「膝栗毛《ひざくりげ》」に対してしかく感ずるなり。戯文戯墨の毒弊は世俗の衆盲を顛堕せしのみかは、作者自身等をも顛堕し去んぬ。然《しか》れども其罪は之を独り作者に帰すべきにあらず。当時の時代、豈《あに》作者の筆頭を借りて、其|陋醜《ろうし
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