想断々(2)
北村透谷

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)変《へん》なり。

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)其音|懼《おそ》る可し、

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]
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     兵甲と国家

 兵甲を以て国威を張るは変《へん》なり。兵甲は寧《むし》ろ国家を弱め、人心を危うするに足るも、以て大《おほい》に国力を養ひ、列国に覇《は》たらしむる者にあらず。国の本真《ほんしん》は気にあり。気若し備はらば業《げふ》挙らむ。凡《およ》そ業なくして勇を談ずるは、仮勇なり。業は以て地歩を堅うし、仮勇は以て自《みづか》らを危うす。

     請ふ米国を視よ

 米国は迺《すなは》ち業《げふ》の国なり。始めより肯《あへ》て国際間の武威を弄《ろう》せず。而して各国之を畏《おそ》る。何が故に畏るゝ、曰く、国民の元気充溢し、百般の業の上に其真勇を睹《み》ればなり。敢て兵甲を以
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