想断々(1)
北村透谷

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)蓋《けだ》し

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)人|若《も》し

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「てへん+區」、第4水準2−13−44]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
(例)悉《こと/″\》く
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     労苦界と戦争

 ヱデンの園にアダム、神の禁を破りし時、ヱホバは彼に告げて言ひけるは「汝は一生の間、労苦して其食を得ん」と。蓋《けだ》し労苦の世界は即ち戦争の世界なり。労苦よりして凡悩も利慾も迷盲も生ずるなれ、是等の者は即ち人生の戦争に対する肥糧なり。苟《いやし》くも労苦あらん限り、戦争の精神は尽きぬなる可し。然《しか》れども、

     戦争に対する偉人の理想

 は、労苦を以て敢て喪敗せざるなり。高潔崇高なる詩人哲学者は悉《こと/″\》く、戦争の邪念を悪《にく》む、而《しか》して英
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